1)内用薬・外用薬・注射薬の調剤
患者さんのお薬を医師の処方箋に基づいて、投与量、投与方法、薬の飲み合わせ(相互作用)、安定性などについて電子カルテの情報を基にチェックを行い、個々の患者さんの状態に適したお薬が提供できるようにしています。
また外来では、患者さんからの副作用情報をもとに、医師と相談の上で薬剤の禁忌登録を行い、同じ薬が処方されないようにしています。
注射薬については、24時間アンプルピッカーを用いて、1施行1トレイで調剤を行っています。また配合変化や投与経路のチェックも行い、安全に点滴や注射が実施できるようにしています。
特殊な使い方をする院内製剤については、倫理委員会での審議後に登録を行い、調製しています。
2)手術前外来服用薬の調査
安心して手術が受けられるように、患者さんの服用中のお薬(他病院の薬、市販薬、サプリメントも含む)を全て調査し、手術前に服用中止が必要な薬剤がないかをチェックし、医師と相談した上で説明を行っています。
現在、年間約1,100件の調査を行っています。
更に周術期管理チームにも参加して、安心して手術が受けられるようにサポートを行っています。
3)病棟業務
当院では全病棟に薬剤師を配置し、入院患者さんに有効かつ安全な薬物治療ができるようにバックアップしています。
病棟担当薬剤師は持参薬情報提供とその評価、薬物投与量の設計、患者さんへの服薬説明、副作用のモニタリングなどに携わっています。特に若手の薬剤師からベテランまで一定のスキルで病棟業務ができるように、独自で作成した病棟業務記録用シート、ハイリスク薬モニタリングシート、腎機能低下時の投与量調査ファイルなどを用いています。またDI担当と共に「病棟薬剤師カンファレンス」を定期的に行い、症例検討、薬剤の情報共有、院内で発生した副作用やインシデントの情報等の共有を行い、医療スタッフに対し、薬の適正使用に必要な情報を常時提供できるように検討を行っています。
4)TDM(therapeutic drug monitoring)
薬物血中濃度の測定は検査部または外注で行なっていますが、解析は薬剤部で行なうことにより、個々の患者さんにとって安全かつ効果的な投与量を設計し、医師に情報提供しています。特に入院患者さんの血中濃度測定結果の解析は、病棟担当薬剤師と連携して病態による薬物動態の変化を考慮し、最適な投与量、投与方法を医師に提案しています。
5)注射薬の調製(高カロリー輸液、抗がん剤)
高カロリー輸液は積極的に既製品を採用していますが、患者さんの状態により使用できない場合は、薬剤部のクリーンベンチ内で無菌調製しています。
また抗がん剤のミキシングは、投与量、検査値、薬歴、投与スケジュール等を調製直前まで何重にもチェックを行い、薬学的に評価を行ったうえで、安全キャビネット内で調製しています。また揮発性の高い抗がん剤については閉鎖性器具を用いて調剤し、プライミングも行っています。
6)医薬品情報業務(DI業務)
院内・院外で発生している医薬品の効果や副作用の情報を、医薬品医療機器総合機構(PMDA)などから、いち早く収集し評価したうえで、電子カルテの掲示板に掲載、院内メールの配信、「薬剤部にゅーす」の配布など、情報発信しています。「薬剤部にゅーす」は保険薬局にも配布しています。特に院内で発生した副作用の情報は、病棟担当薬剤師と連携して収集と一元管理を行っており、主治医と相談のもとPMDAへの医薬品安全性情報の報告や副作用報告なども行っています。
7)チーム医療への貢献
糖尿病教室(2週間に1回)、ICT/AST(感染制御/)抗菌薬適正使用支援チーム)、NST(栄養サポートチーム)、周術期管理チーム、がん薬物療法での活動、褥瘡回診への参加など、チーム医療の中で薬の専門家として活躍しています。
糖尿病教室 |
ICTラウンド |
NSTラウンド |
8)医療安全への取り組み
薬剤部では、院内で発生した薬剤関連インシデントを基に、医療安全管理室と連携してその対策を積極的に検討しています。また薬剤部内でシステムの変更など安全対策を行った結果をアセスメントし、医療安全報告会等で報告を行っています。更に医療安全委員会を通じて、全職員を対象とした医薬品安全管理のための院内研修会を行っています。
9)薬学部学生の実習受け入れ
薬学部学生の長期実務実習も積極的に受け入れており、新たな薬剤師が育つように、臨床教育にも力を入れています。